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コラム:建築を広げる

1つ1 つのアクションや現象が集まったものを 建築と呼びたい

一専多能な『街』の建築家・追沼翼

学生時代より「街」を対象にしたさまざまなプロジェクトを立ち上げ、株式会社OFTHEBOXを設立。
山形県を拠点に企画、設計、まちづくりからカフェ経営まで領域を横断してエリアリノベーションに取り組む【追沼翼】さんにお話を伺いました。

Q.​​街に入り込むキッカケを教えてください。

2016年大学3年生の頃に『街の空き物件を見つけて、妄想のリノベーションを提案する』という課題が与えられ、町に入りフィールドワークをしていくうちに、妄想を実現したいなと思い始めて、自分たちでクラウドファンディングなどを活用してリノベーションを行っていったっていうのが、キッカケです。
プロジェクトを通して感じたことを伺いたいです。
当時学生だったので、建築の作り方・実施設計の図面も書いたことないのに、建築作るの大変だなと思いながらも、最初は1つの建物が変わるとオセロみたいにどんどん街が変わっていくんじゃないかという期待感を持って取り組んでいました。けれど、いざ完成すると1つの建物をリノベーションするだけでは街からの反応がないというか、想像と違った。建築の力を過信しすぎたなと思い、もっとみんなを巻き込んで街に対してアクションする方法を考え始め、今の活動に繋がるようなプロジェクトを始めました。その経験から街という大きいものに対して、どうしていくかを考えるようになりました。

Q.現在は、クライアントワークと自主事業を両立されてますが、
それによる気付きと、街に入り込んでいくコツがあれば教えてください。

自主事業としてコーヒースタンドの経営もしてるので、自分たちが持っているノウハウがあることによって、自分の成功体験を参考にアドバイスもできる。クライアントワークと自主事業の両軸があるからこそ見えてくるものがあると思っていて、既存の枠組みからはみ出たいっていうよりかは、枠組みに何か付加してできることを探したいと考えています。

外から「それ間違えてる」って言われるのと、中に入って一緒に良くしようと思って話し合ってる感覚だとまた変わってくるのかなと思っていて。
例えば、地方の商店街には、商店街組合というものがあって、加入はしてお金を払うけど、何で払ってるんだっけ?と思ってしまう。そんな仕組みの中に、マーケティングの支援を組み込んだら、もうちょっとその街自体の強度が高まってくるんじゃないかなと思ったり。そこの街に入って、商店街組合に入れば、マーケティングの支援も受けられるし、お店としても成立するよみたいなことが将来的に行われたらいいなということを思っていて。
そうなった時に、自分たちで提供できるものを考え動き始めてるところです。
基本的には既存にある仕組みに付加していくことで、魅力を増大させていくということをやりたいと思っていて、まず結果が必要だなと思って今自分たちの会社でやり始めてるって感じですね。

Q.生まれ故郷ではない山形を選ぶ理由
人口的に(故郷である)仙台は100万人以上いて、山形市は25万人に減少している中で活動していくときの、町との距離が全然違うなと思っていて。多分仙台のような規模の場所で同じことをやっても、自分たちで汲み取れるものが少なかったり、街からの反応もなかなか得られないんだろうなっていうのは感じていて、一方、山形だと行政との距離もぐっと近くなったりとか、あとはスケール感として、実験を重ね着実にやっていけるような気がしているのでそこに面白さは感じています。
デパートがなくなってしまったり、商業単体だと商店街を維持していくのは難しいだろうと、漠然と感じる中で、新しい商店街の形であったりとか、これからの街の機能の在り方を考える上では、リアルに問題と向き合える場所ではあるのかなと思っています。

Q.追沼さんが担う役割と今後の展望を教えてください。
大学院生の時に中国から来た留学生の子から教えてもらった言葉で『一専多能』という、一つの専門に対して多くの能力を持ってる人のことを表す言葉があり、そういうふうになればいいんじゃないのっていう話をされて。
そのときに初めて『街について』考えることを中心にいろんな能力を駆使して関わっていきたいと思い始め、今もそう思っています。
今後の展望については、人を集めて、活気のある街をつくるということですね。建物が立ち上がるものを建築っていうのではなく、町全体や、一つ一つのアクション、現象が集まっていったものを建築って呼びたいなと思っています。また、地方で活動していく上では自分たちで事業を持つ。
ことの説得力ってすごいあると思うので、自分たちが気付いた課題に対して、自主事業としてお金を投資して活動していくことはずっと続けていかないとなと思っています。