EXHIBITION

UNBUILT:Lost or Suspended

2018.8.4-2018.10.8

ARCHI-DEPOT ONLINEで保管する作品をはじめとする複数の建築家による、アンビルト建築作品を展示します。

序文
建築の歴史はある意味で「敗者の歴史」である。計画取り止めやコンペ敗北の時点から“過去”になることで、逆説的に建築史的命運を大きく左右することもありえる。
 本展覧会では「負けた[lost]」建築と「止まった[Suspended]」建築を展示する。
「負けた」建築とは、実現を目標としつつもコンペティション(設計競技)に敗北し、実際には建てられなかった建築である。例えば、行政施設の設計競技では、行政の趣味(必ずしも建築家自身の美学に合致しない)に合わせてカラフルなチャートとしてプレゼンボードを制作することもある。
 例えば、巨匠ミース・ファン・デル・ローエの若き日の作品である《ガラスのスカイスクレイパー》(1921) は、ガラスの高層建築はいわば“始祖”であり、後にニューヨークや丸の内といった都市風景のさきがけであった。一方で、設計競技において歯牙にもかけられなかった。この作品は「ポストモダン」と呼ばれる時代に至ってもミースの伝説的な作品として語り継がれ、1950年代に彼が実現した《シーグラムビル》を予見していたと見ることもできる。
 「止まった」建築は、現在進行形で建設が一時中断もしくは構想段階にある、もしくは構想段階に留まっているプロジェクトである。社会的・経済的・政治的理由からプロジェクトが止まっているもの、そもそも実現を前提としたものでないもの、思想を表現したもの、ドローイングの状態で止めて置きたいもの、などがある。建築家の思想は時間にかかわりなく、「止まった」表現として提示されたその時点で凝固する。
 実現の機会が「失われた[lost]」ことで、建築家にとっては現出することがない過去に帰属する。いわば、建築思想として「宙吊り[suspended]」になる。建築家アントワーヌ・グランバックは、「建築は“永遠の未完”である」と述べたが、建築家の構想段階のアイディアは、歴史なき都市に歴史を与える役目をもつ。「未完[Unbuilt]」のプロジェクトは、建築の未来を幻視し、過去を増殖し、現在を創出する。

(文:片桐悠自)

UNBUILT:Lost or Suspended

会期
2018年8月4日(土)-10月8日(月・祝)

会場
建築倉庫ミュージアム展示室B

開館時間
11:00-19:00(最終入館18:00)、月曜休館(月曜祝日の場合翌火曜休館)

入場料
一般3000円、大学生・専門学校生2000円、高校生以下1000円 *展示室A・B両展示観覧可能

主催・企画
建築倉庫ミュージアム

執筆
片桐悠自(東京理科大学理工学部建築学科助教)

展覧会企画協力
三宅理一(一般社団法人日本建築文化保存協会理事)

出品建築家
香山壽夫建築研究所、
山本理顕設計工場、
岡部憲明アーキテクチャーネットワーク、
小嶋一浩+赤松佳珠子|シーラカンスアンドアソシエイツ、
山下保博×アトリエ・天工人、
小泉アトリエ|小泉雅生、
柳澤潤|コンテンポラリーズ、
柄沢祐輔建築設計事務所、
高栄智史建築設計写真撮影、
株式会社梓設計、
京都工芸繊維大学 木村・松隈研究室 ほか

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